像高164.5センチメートル、ヒノキ材寄木造(よせぎづく)りの仏像は、頭髪の形状を渦巻式に表すという特徴など、後期宋風彫刻の影響を残していることから、鎌倉時代中期(13世紀半ばから後半)の製作とされています。また、同寺の木造薬師如来立像との共通点が多く、同一工房で別々の仏師により製作されたと考えられます。
この仏像は、像高164.5センチメートル、ヒノキ材の寄木造(よせぎづく)りで目に玉眼(ぎょくがん)をはめ込み、表面は素地(そじ)仕上げです。頭髪は正面を中心とする同心円状に髪筋を刻む形式で、肉髻珠(にっけいしゅ)、白毫相(びゃくごうそう)を表しています。衣は、僧祇支(そうぎし)・偏衫(へんさん)・衲衣(のうえ)を着け、裳(も)をはき、両腕のひじを曲げ、左手に薬壷(やっこ)を持ち、右手は五指を軽く伸ばして立てています。
頭髪を清涼寺(せいりょうじ)式釈迦如来像のように渦巻式に表すところはやや異形で、低い肉髻(にっけい)、地髪(じはつ)が横に張った形状など後期宋風(そうふう)彫刻の影響が見られることから、鎌倉時代中期の13世紀半ばころから後半にかけて製作されたものと思われます。
この仏像は表面の仕上げや衣文の彫法に同寺の下記の仏像との共通点があり、同一工房においてそれぞれ別の仏師によって製作されたものと考えられています。