像高140.9センチメートル、ヒノキ材寄木造(よせぎづく)りで、全面に漆箔(しっぱく)を施しています。仏像のふくよかな顔や流麗な衣文など随所に平安後期の特徴を残している鎌倉時代初期の代表的な仏像です。眼病に御利益があるといわれ、「常世田薬師(とこよだやくし)」と呼ばれ、広く親しまれています。
常灯寺(注1)は、通称「常世田薬師(とこよだやくし)」の名で親しまれ、目の病にご利益があるとされ、人々に篤く信仰されています。
この仏像は、高さ140.9センチメートル、ヒノキ材の寄木造り(よせぎづくり)で、全面に漆箔(しっぱく)を施し、刀法に生彩があり、膝も広くよく整い堂々としたものであり、また、こまかく彫出した螺髪(らほつ)、伏目の彫眼(ちょうがん)、ふくよかな顔、流麗な衣文(いもん)は、平安時代後期の定朝(じょうちょう)様式を伝えており、関東における鎌倉時代初期の代表的な作例です。
像の胎内全面には、墨書があり、仁治4年(1243)に平胤方(たいらのたねかた)をはじめ多くの人々の寄進により、仏師豪慶によって修理されたことが記されています。
光背(こうはい)は、全高234.5センチメートルで頂部に三躯の胎蔵界大日如来(たいぞうかいだいにちにょらい)を配し、左右には、十二躯の飛天(ひてん)(音声菩薩)(おんじょうぼさつ)が舞う華麗な船型飛天光背です。
台座は、仁治年間に修理された八角形の裳懸座(もかけざ)であり、この時期では県内唯一のものです。