よりよい猫との生活を楽しむために
近年、猫を家族の一員として飼育しているご家庭も大分多くなってきました。テレビでも猫の特集を多く見かけるようになりました。今や猫は人にとって「癒やし」「喜び」の存在となっており、ただ一緒にいるだけで穏やかで安らぎのある時間を与えてくれます。
一方、市役所には、猫に関する苦情や相談も寄せられています。
ペットの終生飼育は飼い主の責務です。猫の特性、習性を知り、適正に飼育することにより、猫と人がよりよく共生できる社会にしましょう。
猫は室内で飼いましょう
猫は外に出してあげないとかわいそう、と思う方も多いと思いますが、猫は室内という狭いなわばりでも十分飼うことができます。
昇り降りの運動ができる場所と窓の外が見える環境を用意してあげましょう。また、猫が好む爪とぎを用意すれば家具が傷つけられることもありません。最近の飼育用品は進化しており、トイレの始末も簡単です。脱臭効果のあるものも多く家の中で飼っていてもフン尿のにおいがほとんどしなくなりました。猫はたいへんきれい好きな動物です。トイレはこまめに掃除をしてあげてください。
外に出る猫は、交通事故や病気のリスクが非常に高く寿命は室内飼育の半分くらいとも言われています。また、公共の場所でのフン尿や物を壊すなどのご近所トラブルの原因にもなります。
不妊・去勢手術をして飼いましょう
手術をするのがかわいそう、自然に任せるのがいいなどの意見もあるようですが、実際には手術をした方が猫も飼い主さんもストレスなく幸せに暮らせます。
大人のオス猫は、非常ににおいの強い尿をあちこちに吹きかけるマーキング(スプレー行動)をしますが、去勢手術をすることでほぼなくなり室内飼育がしやすい猫になります。
発情期のメス猫は甲高い大きな声で鳴き続けます。この時に根負けして外に出してしまうと、ほぼ100%妊娠します。猫の妊娠期間はわずか60日、環境が良ければ年2回から3回妊娠し、1回に4匹から8匹生まれます。
ワクチンを接種して飼いましょう
猫の感染症には様々なものがあり、子猫の時にかかると死んでしまうこともあります。しかし、その多くは予防接種(混合ワクチン)で防ぐことができますので、必ず受けさせるようにしましょう。
屋外にいる猫は様々な病原体を持っており、それらの猫とのケンカや、フン・尿・唾液などを介した間接的な接触で感染しますので、猫を外に出すのはたいへん危険です。
室内飼育でも、猫かぜのウイルスを飼い主が持ち帰ることもありますので、混合ワクチンの接種をおすすめします。
猫を迎えたら ( 猫の飼い方と必要な設備 )
猫は新しい環境に慣れるのに時間がかかる場合があります。迎えたその日は環境の変化にとまどっています。猫はとても不安です。落ち着くまで、薄暗い場所で暖かくしてゆっくり休ませましょう。慣れてくればケージから出てきます。ストレスになりますので、慣れないうちに触りすぎないようにしましょう。(子どもの構い過ぎに注意してください。)遠くからそっと観察し、具合が悪そうだったら早めに動物病院に連れて行ってください。
トイレ
トイレには市販のトイレ砂が便利です。トイレの容器は猫が乗り越えられる深さの容器なら何でもかまいません。近くに気持ちよいトイレがあれば、しつけなくても習慣から自然にそこでするようになります。猫の様子を見ていて、そわそわしたり、床をひっかいたりしだしたらトイレに連れて行ってあげましょう。猫は自分の尿のにおいがする場所にいつも排泄する習性がありますので、何度か繰り返すうちに自分からトイレに行くようになります。
トイレを置く場所は静かな場所にしましょう。あまり騒々しい場所に置くとストレスとなりトイレで排泄しなくなることもあります。また、汚れたトイレは排泄しませんのでこまめに掃除してあげましょう。
中にはトイレにこだわりのある猫もいるので、失敗を繰り返す場合は、トイレを大きくしたり砂の種類を変えてみるのも一つです。複数の猫を飼っている場合、トイレの数は「猫の頭数+1」が理想と言われています。
えさ用と水用の容器
直径が猫の顔より一回り大きくて深すぎない小皿などを用意しましょう。あまり深すぎると食器の縁にヒゲがあたり猫にとってはストレスになります。
えさと水
キャットフードは猫の年齢や病気にあわせたフードを与えましょう。市販されているキャットフードは、猫に多い下部尿路疾患やタウリン欠乏に配慮した総合栄養食です。それ以外のものを食べさせると逆に栄養が偏ったり肥満になったりするので、フード以外のものは与えないでください。
また、子猫には子猫専用のフードをあげましょう。成猫用やシニア用とは栄養価がまったく違います。あげる量は、猫の体重とフードの表示を見て決めてください。食事の回数は、小さいうちは3から4回、大きくなったら2回でよいでしょう。ドライフードを食べない(食べられない)場合は、缶詰やふやかしたドライフードなどの軟らかくてにおいの強い食べやすいものから慣らしてください。
新鮮な水がいつでも飲めるようにしておきましょう。
猫用ケージ・寝床
猫用ケージは上下運動ができるよう2から3段の高さがあるものを用意しましょう。上下に扉があるタイプはお世話がしやすいです。ケージに慣れさせておくと安全に飼育をすることができ、脱走の防止、しつけ、災害時の避難にも役立ちます。また、猫は本能的に狭く暗い場所を好みます。猫用ケージの中に段ボールなどで隠れ場所を作るとよいでしょう。タオル・毛布を敷いたものを寝床として用意し、暖かくしてあげましょう。特に子猫は寒さにとても弱いので、暖房やペットヒーターや湯たんぽを活用しましょう。
爪とぎ器、爪切り
猫には爪をとぐ習性があります。心地よい爪とぎ器があれば、柱やソファーで爪をとぐこともないでしょう。出来れば床置きと縦型の2種類あると安心です。また爪を切っておくことで、引っかかれて怪我をしたり、壁で爪とぎをすることも少なくなります。
爪切りが嫌いにならないよう、無理に抑えつけて切るのは避け、終わった後はおやつなどをあげて褒めてあげてください。タオルや洗濯ネットを利用すると、安全に行えます。日頃から抱っこをする際に、肉球をさわる練習をしておくことも有効です。
クシ・ブラシ
クシやブラシで定期的に手入れをして抜け毛をとってあげてください。猫は自分で毛づくろいをしますが、毛づくろいでなめた毛が口から体の中に入り、胃の中で固まり毛玉となって吐き出すことがあります。飲み込んだ毛が原因で、胃腸障害や消化不良を起こすこともあります。短毛種は3日に1回程度、長毛種はできれば毎日やってあげましょう。
キャリーケース・洗濯ネット
病院などに連れて行くときに、安全に猫を運ぶことができます。上と横の両方に扉があるタイプはさまざまなシーンで重宝します。またふだんからそばに置いて寝床代わりのようにしておくと、安心な場所になり、抵抗無く入れるようになります。
病院などへの移動が苦手な猫には洗濯ネットを利用しましょう。洗濯ネットに入れられると自然と大人しくなり、飛び出しの防止やスムーズな治療に役立ちます。大きめの洗濯ネットであれば、中で動き回れるのでストレスが少ないです。
猫のおもちゃ
猫じゃらし等で遊んであげましょう。スキンシップをとることができるだけでなく、猫の運動にもなりストレスの軽減にも効果があります。