和銅2年(709)の創設と伝えられる渡海神社を囲んでいる林は、房総の典型的なタブ林であり、スダジイ・トベラ・ヤブニッケイをはじめとする常緑広葉樹などにより構成されています。
渡海神社は、和銅2年(709)の創設とされ、貞元元年(976)現在地に移ったと伝えられています。
社殿を取り囲む極相林は、房総における典型的な常緑広葉海岸林で、銚子半島南岸の台地上で、屏風ケ浦(びょうぶがうら)に面しているため林冠(りんかん)部は、一様に風衝形態(ふうしょうけいたい)を示しています。林冠部を構成する高木層には、ヤブニッケイ、ヤブツバキ、モチノキが見られ、低木層にはヒサカキ、ヤツデ、ムラサキシキブなどがあり、草本層にはトベラ、ビナンカズラ、マンリョウなどが確認されています。
極相とは、その土地の環境下での植物群落の移り変わり(遷移(せんい))により、最終的に到達する安定した植物群落のことをいいます。この地の一般的な遷移の系列は、裸地から一年性草本、多年性草本の草原、陽樹種の低木林、高木林、陰樹種の高木林(極相)となります。
このような森林は、三百年から四百年もの間、人手を加えない自然の状態のままで育ってきた林で、植物生態学上貴重な森林です。