銚子市の人口ビジョンを示す『第2期銚子市しごと・ひと・まち創生総合戦略』は、「稼げる地域をつくり、安心して働けるようにする」「新しいつながりを築き、ひとの流れをつくる」「若い世代の希望をかなえ、誰もが活躍できるまちをつくる」「地域で連携し、安心で魅力的なまちをつくる」という4つの基本目標を掲げました。若い世代が夢と希望を持って働き、子どもが産まれ、安心して育ち、すべての人にやさしい地域をつくる。それが、暮らし続けられる、働き続けられる、持続可能なまちづくりにつながります。
銚子市は本年、市制施行90周年を迎えました。川村芳次・初代市長は昭和8年の市制祝賀式において、「本市は商工都市・水産都市・観光都市として、多くの独自性をもっています。この特性を発揮し、一致協力し、大局を見て改革の結果を出し、地方の開発・国益の増進・市民の福利のために邁進し、市制施行の意義を具現化してまいりましょう」とビジョンを述べています。90周年を迎えた今、市制施行の都市ビジョンに立ち返り、市民福祉のために邁進する決意を新たにします。
90周年事業として、銚子市の歩みを振り返る「パネル展」をイオンモール銚子で開催しています。3月12日には、銚子出身で日本を代表する作曲家である弦哲也氏の名誉市民顕彰式、市政に功労のあった方々を表彰する90周年記念表彰式を保健福祉センターで開催します。民間主催のイベントを市制施行90周年記念行事と位置づけ、支援してまいります。
銚子市沖の洋上風力発電については、三菱商事を中心とする事業者から提出された計画が昨年12月、国の正式な認定を受けました。令和10年の運転開始に向け、手続きが進められます。これまでの計画をスケールアップし、13メガワットの大型風車31基が銚子市沖に設置されます。発電出力は403メガワット、年間で一般家庭25万世帯分に相当する電力が銚子の海で生み出されます。三菱商事は35年ぶりの国内支店を銚子市に開設し、同社の中西勝也社長は「再エネは地域分散型電源であり、各地域の特色を生かした産業を興す」と、決意を述べています。
銚子市はバラエティに富んだ「食のまち」として発展してきました。洋上風力により、「再生可能エネルギーのまち」という新たな特色が生まれます。人間が生きる上で欠かせない食料とエネルギーを生産し供給する。地産地消できる。これほど豊かな価値と魅力を持つまちはありません。洋上風力を新たなまちづくりのエネルギーに変え、銚子創生に挑んでまいります。
千葉県が改訂した名洗港港湾計画では、「風車景観とジオパークが調和したエコツーリズム拠点の形成」「海洋性レクリエーション活性化に資する銚子マリーナの拠点化」の方針が示されました。洋上風力を交流人口の拡大につなげ、名洗から外川に至る地域の魅力を高めるため、南海岸のエリアビジョンを策定します。マリーナ、海水浴場、屏風ケ浦、ジオパーク、千葉科学大学、名洗港、外川漁港、外川の街並み。こうした地域資源に、洋上風力の活用を加えたエリアビジョンを策定し、観光振興・地域振興をめざします。
日本の最大の課題は人口問題であり、急激な人口減少と少子高齢化が同時に進んでいることです。銚子市は、その傾向がより顕著です。
日本の人口は、歴史上類を見ない急激な減少局面に入り、2050年には1億人を割り込み9,708万人になると推計されています。2022年の出生数は80万人を切る見込みです。一人の女性が生涯に産む子どもの数「合計特殊出生率」が2.1を切ると人口減少に転じると言われていますが、2021年は1.3まで落ち込みました。
銚子市の国勢調査人口のピークは1965年の9万1,492人。以後60年近くにわたって減少を続け、現在の人口は約5万6,000人。2022年1年間の銚子市の出生数は157人でした。この事態を深刻に受け止め、全力をあげて対策を講じなければなりません。
人口問題に取り組む1つ目の視点は、「暮らしやすい地域づくり」です。
その第一は、「子育てファーストのまちづくり」です。
「子どもは地域の宝、未来の希望である。銚子市の豊かな自然・食・人・文化の中で、地域社会が助け合い、安心して子どもを産み育てることができる環境を整えることは、銚子市民すべての願いである」。この理念を掲げ、『銚子市子ども未来基金』を設置しました。若い世代の「子どもを産み育てたい」という願いをかなえ、子どもたちの健やかな成長を応援するための基金です。
地方創生・銚子創生は、人口減少をいかに食い止めるか、特に若者と女性の減少・流出をいかに止めるかが鍵になります。充実した雇用環境と医療提供体制を確保し、結婚や出産の多様性を認め、安心して子を産み、子育てのできる環境をつくる。若い世代が子どもを産み育てたいと思える地域社会を形成しなければ銚子の未来はありません。
子どもたちの未来は、銚子の未来そのものです。「すべての子どもをすべての市民が支える」。その思いを共有し、子育てファーストのまちづくりを進めます。
銚子市はこれまで、「厳しい財政状況にあっても子どもたちの教育や子育て支援を低下させてはならない」「子育て支援は人口減少対策の柱である」という考えに立ち、子ども医療費助成の拡充、インフルエンザ予防接種の助成、放課後児童クラブの拡充、子育て広場の常設化、子育てコンシェルジュの配置など、子育て支援を強化してきました。令和4年度はファミリー・サポート・センター事業をスタートさせました。事業を運営する社会福祉協議会と連携し、充実させてまいります。
新年度は学校給食費の保護者負担の軽減を図ります。第3子以降は無償化します。新設した『子ども未来基金』にふるさと納税寄付金を積み立て、活用します。メニューを工夫し、食育を推進してまいります。 子ども医療費助成については、平成30年度から対象を高校生年齢まで拡大し、所得制限も撤廃しました。高校生年齢はこれまで、申請による償還払い方式で実施してきましたが、新年度は8月診療分から現物給付方式に変更し、手続きの軽減を図ります。
病児保育事業は、『第2期銚子市子ども・子育て支援事業計画』で2か所の実施を見込みましたが、現状は1か所です。病児保育事業は、保育を必要とする子どもが発熱など病気になった場合に一時的に保育する事業で、保護者のニーズも高いことから、2か所目の確保に向けた検討を進めます。
全ての妊婦、0歳から2歳までの乳幼児を療育する子育て世帯を対象として、妊娠時から出産・子育てまで一貫した伴走型相談支援の充実を図ります。新年度は、出産後も病院や居宅において助産師が中心となり、心身のケアや育児サポートを行う、産後ケア事業を開始し、健やかな育児を支援します。出産育児関連用品の購入費助成や子育て支援サービスの利用負担の軽減を図るため、『出産・子育て応援ギフト(給付金)』を支給します。
子どもの貧困は経済的な困窮にとどまらず、生活習慣・健康管理・学習意欲・自己肯定感にも影響を及ぼし、貧困の連鎖が指摘されています。一方で子どもたちは、貧困の自覚がなかったり、あっても表に出さないため、見えにくい特徴があります。生活支援・就業支援・経済的な支援など、総合的な支援が求められます。
『子どもの貧困対策推進計画』に基づき早期発見に努め、ひとり親家庭の自立支援相談にあたり、教育支援・生活安定化支援・経済的支援を周知します。子どもの貧困問題を早期に福祉制度につなげ、家庭を支援していくため、千葉県が派遣するスクールソーシャルワーカーを活用し、面接相談などを実施します。
子ども食堂は、子どもの育ち、子どもの貧困対策、食育の推進、地域交流の拠点として重要な役割を果たしています。銚子市でも民間による子ども食堂が実施されています。連携を深めながら、子ども食堂の取組を支援してまいります。
関係機関と連携して虐待の発生予防・早期発見・早期対応を図るため、子ども家庭総合支援拠点を設けました。児童虐待や不適切な養育状態にある家庭の子ども、若年の妊婦などへの支援を行っています。子育て広場のミニ講座、乳幼児健診でのチラシ配布、民生委員・児童委員などへの周知を通して、児童虐待防止を強化してまいります。
日常的に家族の世話や介護を行う「ヤングケアラー」の支援について、新たに国が設置するこども家庭庁の重要政策の柱に据え、支援強化を打ち出しました。銚子市にもヤングケアラーを早期発見し、早期支援につなげることが求められます。国の政策と連動し、啓発・支援に取り組みます。
学校教育については、一中・二中・三中・銚子中を廃止し、新たに設立する(新)銚子中学校の令和9年4月開校に向け、新校舎の実施設計を行います。豊岡小学校と統合した春日小学校の校舎は、国の交付金を活用し、大規模改修を継続して実施します。専門知識を持ったICT支援員を配置し、子どもたちのICT教育とGIGAスクール構想を推進してまいります。
いじめ防止対策については、『銚子市いじめ防止基本方針』に基づき、いじめの防止、早期発見・早期対応に努め、家庭や関係諸機関と連携を図りながら、適切に対応してまいります。
小学生への学習支援として平成28年度から実施している「土曜教室」は、自主的な学習習慣を身につけることを目的に、引き続き高校生ボランティアが宿題や教科書の予習・復習などをサポートします。
すべての小中学校、市立高校で、引き続き生理用品の無償配布を行ってまいります。
第二は、「女性活躍」です。
日本の女性労働力率(15歳以上の人口に占める実労働力人口の比率)は先進国の中で最も低い水準ですが、生産年齢人口が減少する日本にとって、銚子市にとって、女性活躍は人口減少対策のみならず、地域活性化の切り札でもあります。
新年度からスタートする『第4次銚子市男女共同参画計画(令和5年度から令和9年度)』では、「一人ひとりが人として尊重され、その個性と能力を発揮できる社会の形成」を基本理念として、「一人ひとりの人権の尊重」「あらゆる暴力の根絶」「男女がともに輝き、活躍できる地域づくり」などを目標としています。関係機関と連携し、DV相談・被害者支援を充実してまいります。働き方改革の推進、仕事と育児・介護の両立支援、ひとり親家庭の自立支援などの施策を進めます。
まず、足元の銚子市役所から女性活躍を推進するため、女性職員の研修の機会を増やし、管理職に占める女性の登用割合(女性管理職登用率)を目標の30%以上に高めてまいります。女性の意見を広く聴くため、審議会・協議会の女性登用率を向上させます。農業における家族経営協定の締結を推進します。
第三は、「すべての人にやさしいまちづくり」です。
SDGsの理念である「持続可能」「誰一人取り残さない」「パートナーシップ」を基軸として、すべての人にやさしいまちづくりを進めてまいります。
新型コロナウイルスについて政府は、感染症法上の分類を「2類相当」から季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に移行する方針を決定しました。今後は、医療提供体制、ワクチン接種、学校現場の対応、マスク着用のあり方、感染対策ガイドラインの見直しなど、具体的な対応が示されることになります。5類移行後も、市民が不安を感じることがないよう、市民の健康に寄り添った相談・サポートを行ってまいります。
地域医療については、市内医療機関と連携し、救急医療や在宅医療の構築を図り、安心して暮らせるまちづくりを推進してまいります。
市立病院は、民間医療機関とともにコロナ禍において多くの検査を担い、公立病院としての使命を果たしています。医師・スタッフの努力で高い病床利用率を持続し、令和2年度から整形外科と外科の手術をスタート、令和3年度から地域で不足する回復期リハビリテーション病棟を開設しました。
患者サービスの向上と業務の効率化を図るため、電子カルテをはじめとする医療情報システムを導入します。
さらなる医療機能の充実に努め、収益の改善に取り組みます。
「地域包括ケアシステム」の中核となる「地域包括支援センター」を4か所体制で運営し、生活・介護・福祉・認知症対策・権利擁護などの高齢者支援を行っています。経済的問題や家族の問題も増加し、センターの役割はますます重要となっています。
介護予防・日常生活圏域ニーズ調査や在宅介護実態調査などの結果をもとに、『高齢者福祉計画・第9期介護保険事業計画』を策定します。
要介護状態になることを防ぐための介護予防の取組として、基準緩和型の通所サービスを試行的に実施し、サービスの充実を図ります。
オレンジカフェの支援、プラチナ体操の普及啓発を引き続き実施してまいります。
生活困窮者に対する相談窓口である「ちょうしサポートセンター」の体制を強化しました。関係機関と協力しながら、相談者の適性にあった就労支援や生活の安定に向けた支援を行ってまいります。
子どもが生まれ育った環境によって将来が左右され、貧困が世代を超えて連鎖することがないよう、生活困窮世帯の子どもたちの支援の充実を図ります。
生活保護は、市民生活を支える最後のセーフティネットです。厚生労働省は「生活保護の申請は国民の権利です。生活保護を必要とする可能性はどなたにもあるものですので、ためらわずにご相談ください」と呼びかけています。市民の暮らしを守る基礎自治体として、適正な保護行政に取り組んでまいります。
令和6年度からスタートする『第4次銚子市障害者福祉計画』について、アンケートや自立支援協議会で意見交換を行い、障害福祉サービスのニーズを捉え、策定を進めます。
令和3年度から地域生活支援拠点等事業「まるっとシステム」がスタートしました。障害のある人の高齢化・重度化や「親亡き後」を見据え、住み慣れた地域で安心して生活を続けるための仕組みです。相談、緊急時の受入れ・対応にあたり、体験の機会づくり、専門的人材の確保・養成、地域の体制づくりを進めてまいります。
LGBTQ+をはじめ、外国人市民や障害のある方など、さまざまな立場の人が、差別を受けることなく、誰もが豊かに健やかに暮らせるまちづくりは、銚子市の大きな目標です。
これまでも「広報ちょうし」に「多様性」をテーマにした特集記事を掲載し、多様性を認め合い、尊重し合うことの大切さをアピールしてきました。先進自治体の事例を参考に、パートナーシップ制度導入の検討など、多様性を認め合う地域社会づくりを推進します。
言葉・文化・国籍の違いを越えて共に生きる「多文化共生」を推進します。
外国人市民との交流を深め、日本の文化・生活様式に慣れ親しんでいただくための取組を推進し、相談体制の強化を図らなければなりません。外国人市民に「銚子に住んでよかった」「銚子を選んでよかった」と思っていただけるような地域共生社会を築いていく必要があります。やさしい日本語の普及、生活支援のための情報提供を行ってまいります。外国にルーツを持つ児童生徒の日本語指導、適応指導に努めます。銚子市国際交流協会による日本語教室や地域住民との交流の場づくりを進めています。多文化共生に当たる地域おこし協力隊を増員し、外国人市民のサポートを行います。
消費者を取り巻く環境は日々変化し、インターネットの利用増加に伴い、幅広い年齢層で消費者トラブルが発生しています。複雑多様化する消費者問題に対応するため、被害防止のための情報提供や消費者教育の機会を設けるなど、引き続き消費者行政の推進に努めます。
第四は、「文化・スポーツの振興」です。
銚子市青少年文化会館については、代替となる複合文化施設を整備する方針です。新年度は候補地の選定・施設規模・機能・事業費・スケジュールを具体化し、複合文化施設の基本構想を策定します。
ホール機能については、市民センターと東総文化会館の中間規模で、多用途・多目的に使用できる施設を基本に検討を進めます。
銚子市ジオパーク・芸術センターについては、文化財の収蔵や展示、歴史文化・自然を活用した「まち歩き」や「体験メニュー」などの「学びのプログラム」を提供できる「学びの拠点」と位置づけ、整備を進めます。
国の登録有形文化財となった旧公正會舘は今後、建物の保存・継承を図り、観光資源として活用しながら、醤油づくり・人づくりの歴史的価値を伝えていくことができるよう、『保存活用計画』を策定します。
銚子市体育館は、空調設備の設置、照明のLED化、トイレ・屋根・外壁などの改修が完了します。災害時を含め幅広く活用していきます。銚子市野球場の内野整備、ブロック塀改修工事を実施します。
人口問題に取り組む2つ目の視点は、「働きやすい、魅力的な仕事づくり」です。
洋上風力発電については、銚子市沖において、20年以上にわたって実施される事業です。運転管理やメンテナンス関連産業の誘致、地元企業の活用、新たな雇用の創出に結びつけていかなければなりません。
公募占用計画では「持続可能な漁業支援体制の構築」「地域産業・雇用の振興」「住民生活の支援」という地域共生策の3つの大きな方針が示されました。協力会社への出向による技術習得など、洋上風力発電関連の具体的な人材育成の方針も示されています。
名洗港については、千葉県が改訂した港湾計画に基づき、洋上風力発電の建設補助・維持管理のための拠点港湾として長期的な活用を見込み、防波堤の新設や埠頭の整備などが進められる予定です。
2050年の「ゼロカーボンシティ銚子」の実現に向け、『銚子市ゼロカーボンビジョン』に位置づけた取組を推進します。太陽光発電や風力発電など、地域特性に応じた脱炭素につながる再生可能エネルギーの最大限の導入をめざします。
省エネ設備への転換・導入など、温室効果ガス排出量の削減に資する効果的な取組を積極的に進めます。再生可能エネルギーを活用した地域マイクログリッドの構築など、災害時における電力供給の強化を図り、災害に強いまちづくりに取り組みます。
観光については、今後の観光需要回復を見据え、地域資源を掘り起こしながら観光地域づくりを進めます。
千葉県や関係団体と一体となって全国各地で開催する観光商談会に参加し、積極的なプロモーション活動を実施します。
外国人観光客の増加も見込まれることから、インバウンド対応を強化し、海外からの誘客を促進します。100周年を迎える銚子電鉄と連携した情報発信を行います。
銚子漁港の水揚げ量日本一を今後も確保していくため、千葉県と連携し、漁業者にとって利便性の高い漁港づくりを進めます。
第3卸売市場の高度衛生管理型市場への建替えについては、銚子市漁業協同組合が事業主体となって、令和3年度から継続して工事が進められています。銚子市も、円滑な事業の実施を支援してまいります。漁業振興基金を活用し、漁業者支援を行います。
銚子水産観光株式会社から無償譲渡の要望が出されたウオッセ21については、建物診断を行い、再生の可能性を検討してまいります。
農業生産力や収益力の強化・拡大のため、国・県の補助事業を活用して、農業振興に努めます。
イノシシをはじめとした有害鳥獣による農作物被害対策として、地域住民、猟友会、農業団体、行政などで構成する「銚子市有害鳥獣被害対策協議会」と連携し、継続的な捕獲に取り組むとともに、電気柵設置のための補助を行います。
東総台地地区広域営農団地農道は、農産物の流通だけでなく、地域における交通環境を改善し、災害時における緊急輸送道路として、令和5年度の全線の完成をめざし、事業主体である千葉県や関係市町と連携し整備を推進してまいります。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い大きな影響を受けた地域経済を活性化するため、国・県の制度を活用し、商工会議所や地元金融機関などと連携して市内事業者の支援に取り組みます。
企業立地等促進補助金制度により、新たに事業拠点を設ける民間事業者や事業の拡充・継続をめざす地元事業者に対して支援を行います。
人口問題に取り組む3つ目の視点は、「安心・安全な都市づくり」です。
『地域公共交通計画』を策定し、市民の足として利用され、地域にとって望ましい公共交通のあり方を取りまとめます。
安全で機能的なまちづくりをめざし、市民が実感できる客観的なデータに基づく分析と目標設定を行い、今後のまちづくりの骨格となる『立地適正化計画』の策定を進め、誘導施設や誘導区域を決定してまいります。
利根川の浸水対策として、現在、桜井町から長塚町までの区間で、築堤と中小河川への逆流防止のための樋管整備が国により進められています。今後も工事の早期完成と堤防未整備区間の早期事業化に向け、神栖市と共同で国に要望してまいります。
国道126号八木拡幅整備事業及び国道356号バイパス整備事業については、全線の早期完成に向け、関係団体とともに国・県に働きかけてまいります。
道路整備の予算は、2年続けて増額しており、中断していた工事の再開や、新たな路線の工事に着手するよう努め、市民要望に対応してまいります。
銚子銀座通りココロードでは、老朽化した道路照明灯のLED化を含めた更新整備を実施します。また、国の補助金や交付税措置のある地方債を活用して、橋りょう長寿命化と道路舗装の修繕工事を計画的に進めることにより、市民の安心・安全の確保と将来的な財政負担の平準化・軽減化に引き続き取り組んでまいります。
河川整備は、緊急浚渫推進事業債を活用した浚渫を行うとともに、老朽化が進んでいる河川の護岸改修工事を実施します。
自然災害の大規模化・頻発化により、災害への備えが大きな課題となっています。
災害時の断水対策として、指定避難所にある受水槽に非常用給水栓を整備し、災害時の飲料水の確保を図ります。
災害時に自ら避難することが困難な避難行動要支援者に対しては、町内会や福祉関係者と連携し、一人ひとりの状況に合わせた『個別避難計画』の作成に取り組み、避難行動要支援者の円滑かつ迅速な避難の確保を図ります。
災害時のいわゆる「共助」の要である自主防災組織は、現在、9団体が設立されています。令和3年度から実施している自主防災組織設立時の資機材購入などの補助事業を継続し、さらなる設立を支援してまいります。
消防署西部分署の大規模改修を行います。救急隊員などの感染防止対策を強化し、防災拠点施設として消防業務を継続させ、市民の安全・安心の確保を図ります。
増大する救急需要に対し、医療機関などとの連携を深め、感染症はもとよりさまざまな救急要請に的確な対応を図ります。
地域防災力の強化のため、消防団員の年額報酬を引き上げ、出動報酬を創設するなど、消防団員の確保を図ります。女性・学生を含む幅広い世代に理解を深めていただくため、消防団活動の広報を行い、消防団への加入を促進します。女性団員の活動を支援する機能を備えた地域防災の拠点施設となる消防庫を新築します。
依然として、電話de詐欺や還付金詐欺などの特殊詐欺による被害が発生しています。特殊詐欺対策電話機器などの導入を促進し、特殊詐欺による被害ゼロをめざします。
地域における犯罪を防止するため、町内会などによる防犯カメラの設置を促進し、犯罪のない安心して暮らせるまちづくりを進めます。
銚子市町内会活動費等特別交付金を活用した町内外灯のLED化が進められています。従来の蛍光灯を使用した照明器具に比べ、省電力化や総点灯時間の長時間化が図られます。照明器具の不具合による不点灯も減少し、夜間の安全な通行の確保につながるものと期待しています。
高齢者ドライバーの交通事故が社会問題となっています。高齢者が運転する自動車の急発進による事故防止や事故発生時の被害を軽減するため、後付け安全運転支援装置の整備を促進し、高齢者の安全運転を支援します。
人口問題に取り組む4つ目の視点は、「つながり人口」の拡大です。地域を応援する「応援人口」、観光を拡大し交流を広げる「交流人口」、市民がさまざまな活動に参加する「活動人口」。こうした「つながり人口」は、活力ある地域づくりに不可欠です。『総合計画』のテーマである「握手」の輪を広げ、「つながり人口」の拡大をめざします。
ふるさと納税は、子育て支援などの自主財源を生み出し、地場産品の販路を拡大し既存産業を活性化するとともに、新たな地場産業の創出へとつなげていく重要な制度です。ふるさと納税を通して銚子を応援する応援人口の増加にもつながります。
昨年11月に策定した『銚子市ふるさと納税推進ビジョン』では、令和7年度までに寄付額を10億円に引き上げることを目標としました。魅力的な返礼品の開発、中間事業者の絞り込みを行い、目標達成をめざします。
寄付額の増加は、返礼品事業者の売上増加、販路拡大、新たな産業の創出、地域経済の活性化につながります。事業拡大による雇用創出、若者などの就労機会の拡大が期待できます。
今後は、民間主体の地域商社設立も視野に入れながら、ふるさと納税の拡充をめざしてまいります。
銚子市では8名の地域おこし協力隊員を委嘱し、家族を含めた移住者は16名になりました。多文化共生、SNSによる魅力発信、銚子電鉄のサポートなど、各分野で活躍しています。
地域おこし協力隊は、都市部から過疎地や人口減少地域に住所と生活拠点を移し、地場産品の開発など、地域協力活動を行いながら、地域への定着・定住を図る制度です。隊員の報酬や活動費について、最長3年間、国からの支援があります。3年の任期を終えた後も、銚子市に居住していただけるよう、活動をサポートしてまいります。
現在、地域おこし協力隊員は全国で6,000人以上が活躍しています。いすみ市では20名の隊員を委嘱しています。銚子市でも隊員を増員し、移住・定住につなげ、地域活性化を図ってまいります。
地域通貨は、地域経済やコミュニティの活性化が期待でき、最近は電子地域通貨が注目を集めています。観光振興、地域の支え合い、市民の健康増進など、さまざまな活用がなされています。新たな「つながり」を創出する地域通貨について、研究・検討を行ってまいります。
千葉科学大学は、地域に根差した大学として、人材の育成や地域に貢献する研究・開発を進めています。「市民公開講座」、看護学部による「まちの保健室」、学生消防隊やスターラビッツによる地域安全活動を展開いただいており、地域と共生する大学づくりを推進しています。銚子市、大学などが参画する銚子円卓会議の新たなローリングストックの取組『OSUSOWAKE』は、各方面から高い評価を受けています。今後も産業・観光・防災・洋上風力発電などの幅広い分野で広く大学と連携してまいります。
限りある行政資源だけでまちづくりを考えるのではなく、市民・地域・団体・民間企業などが持つ力を掘り起こし、つなぐことにより新たな力を生み出していく「公民連携」が重要です。新年度は「公民連携事業室」を設置し、機動性を発揮しながら、優先的に取り組むべき課題の解決を図ります。
令和4年度に委嘱した公民連携アドバイザーには、各種ビジョンづくりや事業へのアドバイス、職員向けの研修などを実施していただきます。国の支援を受けて外部人材を活用する地域活性化起業人制度を活用して、公民連携の取組を推進してまいります。
銚子市では多くの個人・団体が環境美化・福祉・教育・子育てなど幅広い分野で活躍し、まちづくりに貢献しています。今後も各種ボランティアとパートナーシップを深めながら、公民連携のまちづくりを進めます。
銚子キッチンカー協会とは、市有地におけるキッチンカー販売事業で連携を図っています。キッチンカーの設備や機動力などの特性を生かして、災害時においても避難所や被災した地域に出向き、温かい食事の提供が期待できます。災害時の炊き出しに関する災害協定の締結に向け協議してまいります。
第13回日本ジオパーク全国大会が本年10月、銚子市を主会場として開催されます。関東での開催は初めてです。
全国大会では、ジオツアー、基調講演、パネルディスカッション、市町村長セッション、分科会、ポスター発表などのプログラムが実施されます。銚子ジオパークの魅力を全国に発信するとともに、銚子の子どもたちや市民にもジオパークの恵みや価値を感じていただけるものにしていきたいと考えています。
銚子市は、先の戦争で三度にわたり大規模な空襲を受け、多くの生命と財産が失われました。昭和59年9月14日に「非核・平和都市」を宣言し、毎年8月、戦争の悲惨さ、平和の尊さを語り継ぐために写真パネル展を開催しています。
新年度は、コロナ禍で中止していた沖縄県への中学生派遣事業を再開する予定です。
昨年7月、銚子市と台湾桃園市の友好交流協定を締結しました。
新年度は、桃園市から千葉県にチャイニーズオーケストラの訪問と演奏会の提案がなされており、その中で、銚子市とも交流したいとのお話をいただいています。千葉県と連携し、交流事業を実現させたいと考えています。
ノルウェー王国をはじめ、さまざまな国・地域との国際交流を行ってまいります。
昨年7月、洋上風力発電の促進区域に指定された6市2町で設置した全国洋上風力発電市町村連絡協議会では、電源立地地域対策交付金の交付対象の洋上風力発電への拡大などを、連携して要望していく予定です。
銚子連絡道路は、匝瑳市から旭市までの区間が事業化され、令和5年度末には横芝光町から匝瑳市までの区間が開通する予定です。銚子連絡道路の早期整備に向けて、山武・東総地域の自治体と連携して要望活動を行ってまいります。
次に、「行財政運営と新年度予算」について申し上げます。
『銚子市DX推進計画』に基づき、デジタル・トランスフォーメーション(デジタル変革)を進めます。自治体DXの本質は、デジタル技術を活用して仕事のやり方を変え、付加価値の高い市民サービスをつくり出すことにあります。
こうした考え方を基本に、(1)スマートな窓口の実現(2)市民への情報提供の拡充(3)ペーパーレス化の推進(4)職員の働き方改革(5)デジタル活用による地域活性化(6)セキュリティ対策の徹底、を重点項目として取組を進めます。
新年度はマイナンバーカードを使って住民票や印鑑証明書をコンビニで取得できる「コンビニ交付」を実施し、市民の利便性を高めます。
銚子市のホームページを4月に全面リニューアルします。音声読上げやスマートフォンへの対応など、利用者に寄り添った機能を設けます。
公式SNSを活用し、情報発信をより活発に行います。特に、公式LINEは、子育て情報だけでなく全庁的な情報発信を可能にし、さらに欲しい情報を選択受信できる機能(プッシュ通知)により、情報検索の手間を省き、利用者の利便性向上を図ります。
解体工事を進めている旧学校給食センターの用地は、解体後、千葉県へ新たな銚子児童相談所建設用地として売却し、跡地の有効活用を図ります。
公共施設については、将来の人口推計を見据え、財政規模に見合った施設総量に見直し、築年数の経過した施設の長寿命化対策、統廃合などに取り組みます。未利用施設の売却・貸付を計画的に進めます。
令和5年度の当初予算は、物価高騰など費用の増加が見込まれ、厳しい予算編成になりました。一般会計当初予算額は251億2,000万円で、前年度比5.2%増となっています。財政調整基金から約9億円の繰入れを見込み調整しました。
歳入では、前年度当初予算に比べて市税全体で約5,600万円の増加、ふるさと納税の拡充などにより寄付金で約2億円の増加を見込んでいます。
歳出では、電気料金の高騰に伴い光熱水費で約2億円の増加を見込んでいます。旧清掃センターの解体工事費で約1億7,000万円、千葉県が実施主体となって進められている名洗港港湾整備事業の負担金で約1億2,400万円の増加を見込んでいます。水道事業会計への高料金対策の補助金として約5,300万円の予算を確保しています。
公営企業会計は、水道事業ほか2会計で73億100万円、特別会計は、国民健康保険事業ほか2会計で151億900万円となっています。これに、土地開発基金と育英資金貸付基金の運用基金6億4,928万9千円を加えた全体の予算総額は481億7,928万9千円で、前年度と比較して3.4%増となりました。
予算の執行にあたっては、収入の確保と経費の削減に取り組み、健全で持続可能な財政運営に努めてまいります。
今後も市民の皆さまとの対話や連携を通じて、さらなるパートナーシップを築き、『総合計画』のビジョンである「握手のまちづくり」に全力で取り組んでまいります。
令和5年2月10日 銚子市長 越川信一