はじめに
9月定例会の開会にあたり、ごあいさつを申し上げます。
8月29日の早朝、午前6時頃、北海道、東北、信越、北関東の12の道と県の市町村の防災行政無線が鳴り響きました。北朝鮮から打ち上げられた弾道ミサイルに対する「全国瞬時警報システム」、Jアラートによる警戒放送です。昨日は北朝鮮の核実験のニュースも伝えられました。
今回のミサイル発射は、着弾まで12分間でした。その間に実際に何ができるのか。強固な建物や地下へ避難するといっても、ない場合はどうすればいいのか。防災無線の聞こえない地区への伝達、携帯電話やスマートフォンを持たない人への周知はどうするのか。
Jアラートに対する対応で、さまざまな疑問や課題が浮かび上がっています。早急に危機管理体制の確認作業を進め、訓練を検討します。
陸地だけでなく、海には多くの漁船が操業を行っています。北海道沖でも銚子の船が、漁をしています。一日も早く、安心して暮らせる、安心して漁ができるようになることが願いです。
平成28年度決算と行財政改革
平成28年度の決算認定の議案を提出させていただきました。
一般会計の決算は、翌年度に繰越すべき財源を除いた実質収支で1億7千万円の黒字を確保することができました。過去の財政収支見通しでは、非常に厳しく、赤字転落は避けられない年度と位置付けていました。これを回避できたのは、市民の協力をいただきながら行財政改革を実施してきた成果だと思います。
しかし交付税も減少傾向にあり、厳しい財政状況は当面続きます。国民健康保険事業は昨年度に引き続き繰上充用となりました。運営協議会で費用負担の在り方について議論をいただいております。
引き続き、行財政改革を推進し、長期的に安定した健全財政を目指します。
漁業・自然と共生する洋上風力発電
8月1日と2日の2日間、市の担当職員2名と、坂本組合長を含む銚子漁協の皆さん4名とともに長崎県五島市を視察してきました。
銚子の洋上風力発電施設とは異なり、浮体式、水中に浮いた形の洋上風力発電施設でしたが、風力発電設備の建設に伴う漁業振興策など非常に参考となる話を伺うことができました。今回の視察を通じ、漁業者・事業者・市の信頼関係が非常に重要であることを再認識しました。
こうした信頼関係を築きながら、漁業者と共に、漁業や自然と共生する洋上風力発電事業を進めることが、成功につながります。
スポーツタウン事業
旧銚子西高を活用した「銚子スポーツタウン事業」では、株式会社銚子スポーツタウンが施設の整備や備品購入の資金を得るためクラウドファンディングをおこないました。目標額の1千万円の寄附を集め、クラウドファンディングが成立しました。スポーツタウン事業は官民協働で進めている事業です。市としてもご支援いただいた多くの皆さまに御礼を申し上げます。スポーツタウン事業への関心の高さ、期待の大きさが実証された結果だと思います。
会社側も合宿施設などの整備を進めています。市も老朽化した校舎を撤去するための手続きを進めています。平成30年4月オープンに向け、ともにスピード感を持って準備を進めてまいります。
観光DMO構築事業
銚子市観光協会を中心に観光DMO構築事業を進めています。観光を活かした地域づくりを持続的、戦略的に推進し、牽引するための組織づくりを目指しています。
観光DMOには様々な業種、業態の方の参加が必要です。人の結びつきが重要です。地域の多様な団体・人々と連携しながら事業をスムーズに進めるためには、市の積極的な関与が必要だと判断しました。
観光協会と協議のうえ、8月1日から市役所の2階で観光協会のDMO準備室が活動をはじめています。9月1日には、63の団体が参加した観光情報共有会議をDMO準備室の主催で開催しました。
市も事業の確実な実施を後押ししていきます。
国際交流協会設立準備
次に国際交流協会設立についてです。
多くの外国人の方が、銚子で暮らしています。千葉科学大学の留学生、農業・漁業・水産加工業などの研修生や実習生、国際結婚をして銚子に住む方も多くおられます。外国人観光客も増加しています。
このような外国人の方々の支援や国際交流推進のための核となる機関として、国際交流協会を設立する準備を進めています。
9月からは、会の運営を支援いただく会員の募集を始めました。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、インバウンド観光をより積極的に進めるためにも、おもてなし力をアップし、外国人を受け入れる体制づくりが求められています。
その中心となる組織づくりを市民とともに早急に進めていきます。
フィルムツーリズムの開拓
次にフィルムツーリズムについてです。
隣の旭市や本市をモチーフに作られたアニメ映画「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」が8月18日、封切られました。犬吠埼灯台・銚子電鉄・外川の町並み・洋上風力など、銚子を思わせる風景がたびたび登場しています。
9月9日には、カンヌ国際映画祭に出品された映画「散歩する侵略者」も封切られます。この映画のポスターで長澤まさみさんと松田龍平さんが立っているのは、屏風ケ浦です。
24時間テレビでは、清水小学校の子どもたちの願いにこたえて、銚子電鉄の本銚子駅がリニューアルされました。すでに、多くの方が見学に来ています。
これまでも多くの映画やテレビなどに登場してきた銚子ですが、「トモシビ」に続き、銚子を大きくPRしてくれる作品が続いています。
映画「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」の公開に併せ、旭市と共同でラッピングバスを走らせています。モチーフと思われる場所に映画のパネルを展示するなど、映画観光キャンペーンを進めます。フィルムツーリズムを積極的に開拓していきます。
小学校入学準備金の前倒し支給
今回提案させていただいた補正予算には、少額ではありますが小学校・中学校の要保護・準要保護児童の就学援助経費の増額が含まれています。国の基準単価改正に合わせた入学準備金の増額と、新たに、小学校入学時の準備金を入学前に前倒しして支給できるようにするための補正です。
平成27年度の入学生から中学校入学準備金の前倒し支給を始めましたが、平成30年度の新入生から小学校の入学準備金も入学前に前倒して支給します。少しでも、経済的に苦しい家庭に対し、適切な援助ができればと思います。小さなことかもしれませんが、こうした市民に寄り添った改革を一歩一歩、進めてまいります。
結びに
現在の市政の課題や取組方針などについて、いくつか述べさせていただきました。
今議会では、一般会計補正予算など24の議案を提案させていただきました。
慎重審議をお願い申し上げ、あいさつといたします。
平成29年9月4日 銚子市長 越川信一