祭の灯を絶やさない 郷土の伝統をつなぐ ■今、継承の危機 なんだか味気ない夏だなぁ、と感じていませんか。コロナ禍の影響で、郷土芸能や伝統行事の中止が相次いでいます。 「地域の無病息災を願うための祭ができないなんて、はがゆい」「鳴り物を披露するどころか練習もできない」。少子高齢化で継承に課題を抱える団体もある中、その危機が加速度を増しています。 人々が日常生活の中で生み出してきた郷土芸能や伝統行事は、地域の心のきずなや連携を強めてきました。また、地域の経済を回し、魅力を高める観光資源でもあります。今こそ、地域の伝統に思いをはせてみませんか。 銚子の各地域の祭と郷土芸能を後世に伝えようと奮闘する皆さんの声を紹介します。 せめて紙面でお祭り気分を味わってください。 ■伝統ってかっこいい ◇岸田彩花(いろは)さん<小学6年生・豊里台> 太鼓は1年生から習っています。1曲ごとにある見せ場の技を達成できたときと祭で演奏を披露するときが楽しい。一緒に鳴り物をやる友だちが増えたらうれしいです。 ◇信太和波(にな)さん<小学6年生・三宅町> 2年生から太鼓を習っています。祭で叩く順番が回ってくるとわくわくします。今はまだ叩ける曲は少ないけど、練習してもっともっと演奏できる曲を増やしたいです。 ■知ってる?銚子のめずらしい伝統行事 ◇御太刀(おたち)祭<黒生地区> 初午の2月に若衆が勇ましいかけ声を響かせ練り歩いた御太刀祭。 一度途絶えたものの、近年、夏祭りの一環として復活した。 ◇杉みこし<三崎町> 7月14日に開催する大宮神社祇園祭では手作りの杉みこしが町内を練り歩く。 以前は毎年杉みこしが登場したが、現在は7年に一度になった。 ◇お大般若(おでぇはんにゃ)<余山町> 1月の第4日曜日、等覚寺(岡野台町)から大般若経の入った長持ちをいただき、町内全戸を回る。 各家で座敷にあがり家人が長持ちの下をくぐる。 ◇夏越の祓い(なこしのはらい)<新生町> 峯神社で毎年8月、人形の紙に姓名と年齢を書いて撫で、息を吹きかけて、社頭の芽の輪を8の字を描いてくぐって参拝し、社務所に納める。 ◇海上八幡宮秋祭り<柴崎町> 旧暦8月15日、氏子の各町内が参道に立てた的を馬に乗った宮司が射る。的中した的は地区の代表者が持ち帰る。 ■NEWS ◇一斉お囃子プロジェクト 市内12か所で一斉に鳴り物を演奏します。密を避けて、鳴り物に耳を傾けてみてください。 日時:8月7日(土曜)19時開始 場所:市内各所 問い合わせ:銚子神輿連合会・宇野澤さん 【電話】090-3006-7007 ◇眠っているおみこし、鳴り物の道具ありませんか 少子高齢化で出番のなくなった地域のみこしや太鼓など鳴り物の道具を譲ってください。伝統芸能継承に活用します。 問い合わせ:銚子資産活用協議会事務局(文化財・ジオパーク室) 【電話】21-6662 ■歴史と伝統をつなぎたい 銚子神輿連合会 松井和彦さん・宇野澤広道さん 銚子の郷土芸能は踊りも鳴り物も地域によって特色があります。市内12の鳴り物・みこし団体からなる私たち銚子神輿連合会は、地域ごとの特色を残しつつ郷土芸能と民謡、伝統行事を継承し、銚子を盛り上げようと活動を続けてきました。 祭は昔から経済が回って人が出会う地域の交流の場。1年や20年に一度、祭でしか会わない人に会えるのも醍醐味。祭の花、みこしと鳴り物は一対です。鳴り物が絶えたらみこしをもむことはできません。鳴り物と担ぎ手のリズムがぴったりはまったときの快感は言い表せません。 少子高齢化とコロナで活動継続に最大の危機を感じています。2、3年後に現状を維持できるかさえわかりません。先人たちが遺した伝統を絶やさないために、子どもや若者にも魅力が伝わるような活動や情報発信をしかけていきたいですね。 ■鳴り物はじめませんか 鳴り物を始めたい人に各地区の鳴り物団体を紹介します。お子さん大歓迎。 問い合わせ:銚子神輿連合会・宇野澤さん 【電話】090-3006-7007