■市長コラム91 【多様性を認める社会】 銚子市長 越川 信一 「人口減少と都市自治体から世界の少子化対策から考える」をテーマに、東京で開催された『都市の未来を語る市長の会』に参加した。27名の参加市長による意見交換では、 銚子市の財政危機の中にあっても推進してきた子ども医療費助成や市立病院の再生などについて説明した。 講師を務めたのは元内閣官房参与として少子化対策・子育て支援を担当した吉村泰典・慶応義塾大学名誉教授。産婦人科医でもある吉村教授は銚子市内の病院にも勤務した経験があると伺い話が弾んだ。 2016年に100万人を割り込んだ日本の出生数は2022年には80万人を割る見込みで、少子化に歯止めがかからない。吉村名誉教授は、若い世代が子どもを持ちたいと思う社会を形成することの重要性を強調し、 少子化対策の一つとして「多様性を認める社会への変貌」を挙げた。海外では、「1人で子どもを生む人を尊敬し、婚外子でも子どもが育てられる環境を整えることが出生率の向上につながっている」と指摘。 出生率の高い国は婚外子の割合が高く、2008年のデータでは、日本の2.1%に対しフランスは52.6%、スウェーデンは54.7%。オランダでは婚外子の割合が28年間で4.1%から41.2%となり、10倍に増加したという。 日本との文化的違いはあるが、多様性を認め合い、誰もが安心して出産・子育てができる環境をつくることの必要性を実感した。 「子どもは地域の宝、未来の希望」という理念に基づき設置した「銚子市子ども未来基金」を活用し、子育て支援を前進させていきたい。