健康ひとくちメモ ■ロタウイルス感染性胃腸炎 児玉メディカルクリニック 兒玉 泰治医師 乳幼児の嘔吐・下痢を引き起こすウイルス性胃腸炎は、ロタウイルス、ノロウイルス、アデノウイルス、サポウイルスなどが代表的です。ウイルス性胃腸炎は晩秋から冬季に流行することが多く、感染力も強いため集団感染することも多いです。 また、腸重積(ちょうじゅうせき)に先行して感染することも多く、重症化する危険性の高い感染症の一つです。中でも主要な原因がロタウイルスによる感染症です。ウイルス性胃腸炎の中で最も頻度が高く、症状が重いので気をつけなければいけない感染症の一つです。 感染経路は糞口感染で、発症後少なくとも1週間は便中にウイルスが排出され、感染者の周囲の物を介して間接接触感染で広がります。症状の多くは突然の嘔吐で発症し、嘔吐と同時かそのあとに下痢を伴います。酸っぱいにおいの黄色かクリーム色のような便で、ときには米のとぎ汁のような便になることもあります。発熱や重症な脱水を起こすことがあるのも特徴です。この脱水で3キログラムから4キログラムの子どもの体重が1日で300グラムから400グラム減ることもあります。これは60キログラムの成人なら6キログラムに相当しますから命に関わります。長期入院が必要な場合もあります。 有効な治療薬はありません。初期の嘔吐や発熱、その後の下痢には、水分補給と電解質補充が最も有効です。嘔吐で飲めない場合は点滴が必要になります。感染後1週間ほど便にウイルスが排出されるため、便の処理や手洗いには十分注意しましょう。 現在、令和2年8月1日生まれ以降で生後6週以降の乳児は、公費でロタウイルスワクチンの接種を受けることができます。くわしくは健康づくり課か市内小児科にお尋ねください。