■台湾では「イクメン」が普通 性別役割分業少ない 地域おこし協力隊 ロイターマン絵美 さん 銚子生まれ銚子育ち。大学卒業後日本語講師として15年間台湾の企業に勤務。米国人の夫、5歳と2歳の子と昨年8月に帰国したばかり 私は台湾で15年間日本語講師をしていました。8月に帰国したばかりです。 ◇台湾はアジアの人権先進国 台湾は、アジア最大の性的少数者のパレードが毎年開催されたり、2019年にアジアで初めて同性婚が合法化されたことでも知られる人権先進国です。日本だと性的少数者の方はテレビで見るおもしろい人、特別な人という印象がありますが、台湾ではまったく違って、職場の同僚や友人の中にもいるのが普通。男の人同士が手をつないで街を歩いているのもよく見かけます。 ◇家庭も職場も性別役割分業は少ない 台湾の夫婦は共働きが普通で、駅員やバスやタクシーの運転手にも女性は多いです。 日本だと家事育児は女性がメインで、男性が少し手伝っただけでも「イクメン」と褒められたりしますが、台湾では家事も育児もできる方が率先してやるのが普通。妻が病院へ行くときは、できる限り夫が仕事を休んで付き添うことにも初めは驚きました。 我が家では私が食事を作る担当で、その間の子守は夫が担当してます。台湾では公園に子どもを連れていくのは父親の方が圧倒的に多い気がします。 ◇「3つのM」に救われた 台湾は街全体が子どもやお年寄りに優しい雰囲気があって、重そうな荷物を持った人がいればすかさずその場にいる誰かが手助けをします。私自身も子どもを抱いて家から空港に向かったとき、スーツケースを一度も自分で持たなかったのではと思うほど何人もが手を貸してくれました。 台湾の国民性はよく「3つのM」で表されます。3つのMはマーマーフーフー(おおざっぱ・適当の意)、メイグワンシ(大丈夫・気にしないでの意)、マンマンライ(ゆっくり・あせらないでの意)の頭文字。このおおらかさには自分が失敗したときはとても救われたけど、仕事上でも時間にルーズな点が困りもの。正直、きっちりした日本が恋しいときもありました。でもそんなふうに時間にもしばられないから人にも優しくできるのかもしれませんね。 ◇妊娠・出産して感じた「自分は外国人」 そんな台湾でも、妊娠出産を経験してから自分は外国人なんだと急に意識するようになりました。 永住権があっても選挙権がないこと、外国籍の子どもは一部の医療費助成や教育給付金などの行政サービスが台湾人と同じに受けられないことなども、子どもの就学前に帰国した理由の1つです。 銚子で暮らす外国人の皆さんも、もしかしたらかつての私のように悩んでいる方がいらっしゃるかも。出身国ごとの仲間内でしか付き合いがなかったり、日本語が話せない親の通院に通訳をするために、子どもが学校を休んだりする現状があるとも聞いています。抱えている問題を聞き出したり、日本語学習をお手伝いしたりして、コミュニティ間の溝を埋められるような存在になれたらいいなと思っています。 ■STUDY ◇ジェンダー(社会的・文化的につくられる性別)平等の現在地、日本は今どこらへん? ジェンダーギャップ指数1位と日本の差 1位アイスランド 日本121位(153か国中/過去最低) 特筆すべきは政治分野144位、経済分野115位の現実。社会のルールを決める場所に女性が少ないことがわかります。 出典:GlobalGenderGapReport2020 ◇日本人男性は世界一家事・育児をしない? 子どもがいる共働き夫婦の夫の家事・家族ケア分担率 日本18.3%(最下位) スウェーデン42.7%、アメリカ37.1%、台湾31.5% 先進国では3割から4割が当たり前。日本は男女の役割がはっきりしている社会なこと、労働時間が国際的に比較しても長いことが考えられます。 出典:国際社会調査プログラム「家族と性役割に関する意識調査」2012