はじめに
平成29年6月定例会の開会にあたり、ごあいさつを申し上げます。
5月17日より、2期目の市長任期がスタートしました。厳しい財政や人口減少など、銚子市を取り巻く環境は「てんでんしのぎの荒海」の状況にあります。しかし、これほど豊かな地域資源に恵まれたマチはありません。何よりも郷土愛と矜持(きょうじ)に満ちた市民がいます。「確かな暮らしの形」という土台の上に、「人を大切にするまちづくり」を推進していけば、どんな荒海も乗り越えることができる。人口減少の中でも「真の豊かさ」を実現することはできます。
これからの4年間は、財政再建と病院再生を確かなものにしながら、「銚子創生」という新しい扉を開く時です。郷土愛を結集して銚子電鉄を復活させた銚子商業高校の生徒たちのように、市民一人ひとりの情熱と力を重ね合わせ、行動し、まちづくりの翼を広げていけば、必ず銚子創生を成し遂げられると信じています。
お試しサテライトオフィス事業
高市早苗総務大臣と森田健作千葉県知事がこの5月、銚子を訪問しました。銚子市が昨年12月から取り組んでいる「お試しサテライトオフィスモデル事業」の視察です。この事業は総務省の委託事業で、地方への新たなヒトと情報の流れをつくるため、「お試し勤務」を通じて民間企業のサテライトオフィスのニーズを把握し、地域の特性を活かした誘致戦略を策定するための事業です。
高市大臣からは、「銚子はサテライトオフィスに適した魅力的な地域」「銚子で育った若者が、都市部のIT企業の正社員として銚子のサテライトオフィスで働けるようになればうれしい」といった感想をいただきました。
これまでにIT関連など9つの企業が「お試しサテライトオフィス」を利用し、東京を中心に100社以上の企業が関心を寄せています。モデル事業は9月末に終了することとなっていますが、引き続き継続できるよう高市大臣にお願いしました。
これまでも創業支援セミナーや空き店舗補助、企業立地補助制度など、企業・起業家の誘致・支援のため、様々な事業を積極的に展開してきました。担当職員も懸命に取り組んでいます。今回の「お試しサテライトオフィスモデル事業」も検証しながら、企業・起業家の誘致に向けた戦略を組み立て、実行していきたいと思います。
平成29年度の当初予算は、市長選を控えていたことから、義務的な経費や経常的経費を中心に、骨格予算として編成しました。この6月議会には「肉付け予算」となる、11億8千万円余りの補正予算を計上しています。
補正予算に計上した主な事業と選挙時に掲げた公約の方向性について、ご説明申し上げます。
漁業・自然と共生する洋上風力発電
洋上風力発電については、銚子市漁業協同組合と東京電力が商業運転化の協議を進めています。海で暮らす、海で生活する漁業者の同意、漁業と自然との共生が、洋上風力発電を成功させる絶対条件です。
銚子漁協と東京電力の協議の推移を見守りながら、「洋上風力推進室」を中心に、事業推進に向けた研究・準備を進めます。今回の補正予算でも、先進地視察のための経費を計上しました。
潮風を感じられるお試し住宅
移住定住の推進については、西小川町に設けた「お試し住宅」に加え、空き家バンクを活用し、新たに「お試し住宅」を整備します。住宅の改修費やPRのための経費などを補正予算に計上しています。
1軒目の「お試し住宅」は利用者の利便性、住みやすさを優先し、街中に整備しました。今回は、東京での移住相談会の意見を参考に、海に近い、潮風の感じられる長崎町の一軒家をご用意する予定です。
新たな移住者の獲得に繋がることを期待しています。
スポーツタウン事業
旧銚子西高跡地を活用した「銚子スポーツタウン事業」は、スポーツ合宿施設の平成30年4月オープンに向け、株式会社銚子スポーツタウンを1月に設立し、準備を進めています。
今回の補正予算では、スポーツ合宿施設の運営に支障が出ないよう、旧銚子西高の校舎を撤去するため経費として2億9千万円弱を計上しています。官民協働事業として進めてまいります。
観光DMO構築事業
国の地方創生推進交付金を活用し、観光DMO構築事業を支援するため、5千万円余りの補正予算を計上しました。観光を活かした地域づくりを持続的戦略的に推進し、牽引するためのもので、銚子市観光協会を中心として、まちづくり会社機能や地域商社機能を持った、専門性の高い組織の構築をめざします。
道路・河川などの整備
市民の安全と大切な財産を守り、住みよい環境を整えるため、道路・河川・橋りょうの整備を進めます。できる限り住民要望に応えられるよう予算を確保し、道路の舗装や側溝の整備などを進めます。
3億3千万円余りの補正予算を計上しています。
消防分署整備
人口減少に対応し、消防力を低下させないように配慮しながら、常備消防体制の規模の見直しを図ります。本年度は、東部分署の建築に取り掛かり、西部分署の車庫棟も整備します。平成30年9月には再編を完了し、1署2分署体制に移行する予定です。
補正予算では、東部分署の建設のための継続費補正のほか、西部分署の車庫棟整備の予算も加え、2億4千万円余りを計上しています。
子どもインフルエンザ予防接種助成
子どもの健康を守り、医療費の縮減を図るため、銚子市医師会の協力を得て、6か月児から中学生までの子どものインフルエンザの予防接種費用の助成をスタートさせます。
子ども1人につき年1回、2千円を助成するもので、730万円弱の補正予算を計上しています。
高齢者・障害者「福祉パス」
高齢者や障害者の移動支援と高齢ドライバーの運転事故防止を図るため、高齢者や障害者が路線バスや銚子電鉄が無料で利用できる「福祉パス」の実証実験を行うため、担当者を神栖市に派遣するなど、検討を進めています。
平成30年度当初予算に関連経費が計上できるようスピード感を持って事務を進めます。
子ども医療費助成拡大
子ども医療費助成を平成30年4月から高校3年生まで拡大するための手続きを進めています。拡大に併せ、所得制限の撤廃も検討しています。
厳しい財政状況ですが、将来を担う子どもたちのため、高校3年生までの助成拡大と所得制限の撤廃が必要だと判断しました。
結びに
今回の「肉付け予算」の内容と選挙時に掲げた公約の取組方針について述べさせていただきました。
今議会では、一般会計補正予算のほか、8議案を提案させていただきました。
慎重審議をお願いし、あいさつといたします。
平成29年5月30日 銚子市長 越川信一