絹本著色(けんぽんちゃくしょく)の掛幅装(かけふくそう)で、真言密教を伝えた祖師(そし)八人が一幅に1人描かれ、全8幅あります。室町時代前期(15世紀)の製作と推定され、繊細で華やかな表現で優作といえます。
(写真は、真言八祖のうち「竜猛(りゅうみょう)」です。)
真言八祖画像は、真言密教を伝えた祖師(そし)八人(竜猛(りゅうみょう)、竜智(りゅうち)、金剛智(こんごうち)、善無畏(ぜんむい)、一行(いちぎょう)、不空(ふくう)、恵果(けいか)、空海(くうかい))を描くもので、一幅に一人を描く八幅一組の画像として造られました。
その図様は、空海が唐から持ち帰った真言五祖像(国宝)を中心として定形が決まっており、現存するほとんどすべての作例は手本に忠実に描かれ、本画像も全く同様に描かれています。
画像は、絹本著色(けんぽんちゃくしょく)の掛幅装(かけふくそう)で、それぞれ縦83.4から84.0センチメートル、横42.0から43.8センチメートルです。
真言八祖画像は、人物の輪郭線に細い朱線を用い、台座の上敷きには華麗な花文様が細かく彩色されていたことが認められ、明るい色調の画面であったことが推測され、当初の繊細で華やかな表現を窺うことができます。
このような技法から室町時代前期(15世紀)の製作と推定され、その製作も優秀です。
表具背面には二か所に分けて文明14年(1482)に奈良において東光寺第二世信恵が求めたこと、正徳4年(1714)に東光寺第19世諦恵が改装したことの墨書が残っています。